あなたの知らないトマトの世界:生産量ランキングから読み解く日本の食卓と農業のヒミツ

あなたの知らないトマトの世界:生産量ランキングから読み解く日本の食卓と農業のヒミツ

あなたの知らないトマトの世界:生産量ランキングから読み解く日本の食卓と農業のヒミツ

食卓に欠かせない、あの真っ赤な野菜「トマト」。サラダやパスタ、煮込み料理にと大活躍ですが、普段スーパーで手に取るトマトが、一体どこで、どれくらい生産されているかご存知でしょうか?

この記事では、日本のトマト生産量の最新ランキングから、世界の動向、そして生産量に影響を与える様々な要因まで、徹底的に解説します。この記事を読めば、いつものトマトがもっと美味しく、もっと身近に感じられるはずです。

この記事でわかること

  • 世界と日本のトマト生産量の最新データと日本の世界順位
  • 日本の都道府県別トマト生産量ランキングとシェア率
  • 生産量を左右する気候や栽培技術のヒミツ
  • トマトの生産に関するよくある疑問

目次

  1. 世界のトマト生産量、トップはどの国?(日本の順位も)
  2. 日本のトマト生産量の推移と現状
  3. 【都道府県別】トマト生産量ランキング2025
  4. 生産量に影響を与える要因とは?
  5. 生産量トップクラスの品種と栽培方法
  6. トマトに関するよくある質問(FAQ)
  7. まとめ:生産量から見えてくる日本の農業の未来

1. 世界のトマト生産量、トップはどの国?(日本の順位も)

まずは、グローバルな視点からトマトの生産量を見てみましょう。世界中で栽培されているトマトですが、その生産量は国によって大きく異なります。

FAO(国際連合食糧農業機関)の2023年データによると、トマト生産量で圧倒的な1位を誇るのは中国です。中国は世界のトマト生産量の約3割を占め、2位以下の国々を大きく引き離しています。続いてインド、トルコ、アメリカ、エジプトなどが上位にランクインしています。

そして、気になる日本の順位は33位です。

順位 国名 生産量 (トン)
1位 中国 70,119,694
2位 インド 20,425,000
3位 トルコ 13,300,000
4位 アメリカ合衆国 12,370,057
5位 エジプト 6,211,016
33位 日本 711,724

(出典:FAOSTAT 2023年データに基づく)

日本の生産量は約71万トンで、中国の約70分の1程度となります。これは、日本の国土面積や農業の構造の違いが大きく影響していると考えられます。上位の国々では、加工用トマトの生産も非常に盛んで、大規模な栽培が行われています。


2. 日本のトマト生産量の推移と現状

世界的に見ると、日本のトマト生産量は上位ではありませんが、安定した生産が続けられています。

過去のデータを見ると、日本のトマト生産量は1970年代にピークを迎えましたが、その後は緩やかに減少傾向にあります。しかし、近年は施設栽培の普及や品種改良により、10アール(1,000平方メートル)あたりの収量(反収)は向上しています。

これは、気候に左右されにくいハウス栽培が増えたことや、効率的な栽培技術が導入された結果と言えます。国産トマトの需要は安定しており、特に生食用のトマトは高い品質が求められています。


3. 【都道府県別】トマト生産量ランキング2025

さて、最も気になる日本の都道府県別トマト生産量ランキングを見てみましょう。農林水産省の最新データに基づくと、以下の都道府県が上位にランクインしています。

2024年産 トマト収穫量ランキング (上位10県)

順位 都道府県 収穫量 (t) 全国シェア率 (%)
1位 熊本県 132,600 約19.5
2位 北海道 59,300 約8.7
3位 愛知県 44,500 約6.5
4位 茨城県 41,000 約6.0
5位 千葉県 28,900 約4.2
6位 群馬県 27,200 約4.0
7位 青森県 24,100 約3.5
8位 福島県 23,500 約3.4
9位 宮崎県 21,700 約3.2
10位 秋田県 20,400 約3.0
- 全国合計 約678,500 100

出典:農林水産省 作物統計調査 2024年データに基づき算出)
※シェア率は小数点第2位を四捨五入しています。

2024年最新版】ミニトマト生産量ランキング!日本一の産地はどこ?


圧倒的な1位は熊本県!

熊本県は、冬春トマト(主に冬から春にかけて収穫されるトマト)の生産が特に盛んで、安定した温暖な気候と高い栽培技術により、長年にわたって生産量日本一を誇っています。全国の約2割を占めるシェア率は、その生産力の高さを物語っています。特に「はちべえトマト」や「くまもと塩トマト」など、高品質なブランドトマトが有名です。

夏秋トマトの代表格、北海道

北海道は、夏の冷涼な気候を活かした夏秋トマト(主に夏から秋にかけて収穫されるトマト)の産地として知られています。広大な土地を利用した露地栽培や、日照時間を活かしたハウス栽培が行われています。

施設園芸が盛んな愛知県と茨城県

愛知県茨城県は、大規模な施設園芸(ハウス栽培など)が発展しており、年間を通して安定したトマトの供給を可能にしています。特に愛知県の田原市は、日本有数の生産地として知られています。茨城県は夏秋トマトの生産量で常に上位に位置しています。


4. 生産量に影響を与える要因とは?

トマトの生産量は、単に農家の努力だけで決まるわけではありません。様々な要因が複雑に絡み合って変動します。

  • 気候変動と異常気象: 近年、台風や長雨、猛暑といった異常気象が頻発しています。これらはトマトの生育に大きな影響を与え、生産量の増減に直結します。
  • 栽培技術の進化: ハウス内の温度や湿度、二酸化炭素濃度などを自動で制御する「環境制御」や、AIを活用した「スマート農業」の導入により、収量の安定化や品質向上が進んでいます。
  • 生産コストの変動: 原油価格の高騰は、ハウスの暖房費や輸送費に影響を与え、生産コストを押し上げる要因となります。
  • 労働力不足と高齢化: 農業従事者の高齢化や労働力不足は、特に収穫作業など多くの人手を必要とする場面で大きな課題となっています。

5. 生産量トップクラスの品種と栽培方法

生産量の多い産地では、どのような品種が栽培されているのでしょうか?

日本のトマト生産を支える代表的な品種は、甘みと酸味のバランスが良い「桃太郎」シリーズです。熊本県では「桃太郎ホープ」や「りんか409」などが多く栽培されています。

また、ミニトマトも生産量が増加しており、「アイコ」や「千果」といった品種が人気です。ミニトマトは収量性が高く、施設栽培に適しているため、安定生産に貢献しています。

栽培方法では、土を使わない水耕栽培や、ビニールハウスなどの施設内で環境をコントロールする施設園芸が主流になりつつあります。これらの技術により、気候に左右されずに安定した品質のトマトを生産できるようになりました。


6. トマトに関するよくある質問(FAQ)

Q1: トマトの旬はいつですか?
A1: 露地栽培のトマトの旬は夏ですが、施設栽培の普及により、今では年間を通して美味しいトマトが手に入ります。ハウス栽培では春~初夏が生産量が多くなります。
Q2: なぜ熊本県はトマトの生産量が日本一なのですか?
A2: 熊本県は、温暖な気候に加え、阿蘇山系の豊かな水や火山灰土壌といった恵まれた自然環境があります。さらに、冬春トマトの栽培技術が高度に発達しており、安定して高い収量を確保できることが最大の理由です。
Q3: 家庭菜園でたくさんトマトを収穫するコツはありますか?
A3: 日当たりと風通しの良い場所で、水はけの良い土を使うことが基本です。また、「わき芽かき」をこまめに行うことで、栄養が実に集中し、大きな実がつきやすくなります。

7. まとめ:生産量から見えてくる日本の農業の未来

トマトの生産量という一つのデータから、世界的な食料事情、日本の農業が直面する課題、そしてそれを乗り越えようとする技術革新の姿が見えてきます。

私たちが何気なく食べているトマト一つにも、農家の方々の tireless effort(たゆまぬ努力)と、様々な技術が詰まっているのです。これからも、新鮮で美味しいトマトを食卓に届けてくれる生産者の方々に感謝しながら、味わってみてはいかがでしょうか。。

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